フランスでカトリックが衰退している?衝撃映像と統計の詳細。

フランスにおいてマジョリティーの信仰と言えば、勿論「カトリック」ですね。

ルルドなどは、聖母マリアが出現したことで良く知られ、最大の巡礼地として世界に名を馳せています。

ところが近年、進行する「世俗化」に伴って、人々の「教会離れ」が深刻化してきているとか。

その実態について詳細に迫ってみたいと思います。

進む世俗化の中に、失われていく宗教。

宗教権威の管理領域が、世俗に遷移、譲渡されてきている世情というのは、先進国ほど顕著ですね。

勿論、日本もその例外ではなく、出家僧が国民に与える影響力というのは、経済的な面でも、精神的な面でも、縮小の一途を辿っていることは紛れもない事実。

先日レビューを投稿させてもらった、書籍「寺院消滅」では、数々のルポや統計調査と併せ、このことが明瞭に記されています。

(※詳細リンク↓)

「寺院消滅」レビュー。僕が思う、寺が必要なくなる単純な理由。

話を戻して、フランスにおけるカトリックというのは、歴史的に見ても、

政治、経済共に、高い地位を擁立してきた確固たる功績が残されています。

例えば、ユグノー戦争などは、そのことを象徴する一大事件であったと言えるのではないでしょうか?

しかしその後、フランス革命が勃発。

このムーブメントには、政治と宗教の密接不可分な権力構造に対する国民の怨恨、憎悪の表面化という側面を大いにはらんでいます。

なぜフランスが、現在のような厳格なる「政教分離」を制定に至ったのかと言えば、

この革命によって、そういった理念、精神的な素地が生成されたから、

と、見て良いと思います。

政治と宗教の隔離と、世俗化というのは、同時進行として起こり、

この流れの推進というのが、現在の教会の窮状に繋がった主たる要因でしょう。

以下に示す様な、見るに忍びない教会の寂寞たる光景。

これは残念ながら、当然の報いであったと言えます。

フランスの空っぽの教会

「French church almost empty Sunday am」

と題された、この動画の光景を目の当たりにすれば、

フランスにおけるカトリックの消滅が、如何に逼迫しているかを窺い知ることができます。

これは恐らく日曜日のミサを撮影したものと思われますが、

あまりの出席者の少なさ(20人前後?)に思わず、唖然とさせられます。

この状況は、近年において急速に顕在化してきており、

フランス人の日曜日のミサ出席率の推移は

1958年における「35%」から、

2004年にはなんと「5%」の水準まで低下しているとのこと。

更に衰退を示す統計。

更に、フランス人の子供に洗礼を授ける割合が、

1950年…90%

に対し、

2004年…60%

まで減少。

フランスにおいて司祭になろうとする人の割合については、なんと、

1950年…1000人程度

から、

現在は100人程度に激減しているようです。

失われているのは宗教か?宗教性か?

フランスの教会離れは進行の一途を辿っており、

今後、この流れが変わるということは、まず当面はあり得ないと思います。

しかし、人間に内在する「宗教性」が完全に失われるということは、到底考え難く、

死後に対する知的欲求や、神秘的な体験、超越した存在に求める救済というものは、

人、あるいは広義には「知的生命体」が、潜在的に持ち得る、生来的要素であり、

儀礼という表現の中で、それらは発露され、

また、そういった営為が「文化」となり、人の倫理、道徳、芸術、歴史を作り上げてきました。

はけ口を失い、鬱積した「宗教性」は、

様々なキッカケを通じて頭をもたげ、時に集団を形成し、暴力に結びつく事態を招くこともあり得るでしょう。

カタチを変え、宗教というカテゴリーの埒外で、それらが放出されることによって、人々の宗教的欲求が全て解消されるならば、それは時代の趨勢として辿り着いた一つの人類社会の姿なのかもしれませんが、

個人的には、まだそういった段階には至っていないように思えます。

であるならば、やはり既存の役割として、人々の「宗教性」が発散されるべき矛先が、盤石でない状況というのは、

当方のメインテーマでもある、「カルト宗教」の興隆を助長させる環境、温床を作り出してしまうことに繋がると思うのです。

非倫理的な新宗教の台頭の抑止力として、

保守的な立場である既成の宗教が、睨みを利かせることは

宗教界のパワーバランスを保つ意味で、重要ではないでしょうか。

世の中の安寧、秩序を宗教的アプローチによって統制する機能が、もし完全に失われてしまったら、

これは由々しき事態だと思うのです。

野放図に跋扈する、悪意を基とした教団を、排斥する役割を担うのもまた、宗教。

「毒」を排斥する前に、「毒」を制することが出来るのもまた「毒」なのです。

「国家」も、この事態を決して座視することなく、

今後起こり得る問題を熟慮した上で、「世俗化」、「宗教消滅」という未曽有の現象と改めて向き合う必要性に迫られているのではないかと。

そんな思いを巡らせてしまいます。

ということで、「頑張れ!既成宗教!」

(※参考資料 宗教消滅)

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『フランスでカトリックが衰退している?衝撃映像と統計の詳細。』へのコメント

  1. 名前:ポリ銀 投稿日:2016/02/16(火) 09:43:42 ID:c2772f035 返信

    ミミ 様

    ご無沙汰しております。
    日曜日にお寺に行く習慣は、法華講に入って身につきました。
    お寺が心のよりどころになることは、現代人にとっての聖と俗を考えるのにとてもいい教材だと思いますね。
    新興宗教は特異な俗による一般的な俗への洗脳支配ですからね。

    • 名前:ミミ 投稿日:2016/02/19(金) 23:06:56 ID:1049e5632

      ポリ銀さんへ
      返信が遅くなってしまいました。すみませんm(__)m
      そうですね。多くの日本人にとってお寺というのは。五感を通じ、自己のアイデンティティーを喚起させる、文化の象徴だと思います。
      西洋にとっても教会というのは、同様の機能を有した、先祖たちの宗教的営為の結晶でしょうから、
      そういった意義深い存在が消滅の危難に直面している現状は、宗教界に限らず、国際政治、経済を含む、様々なパラダイムシフトの兆候を暗示しているように思えます。