「ある日突然友人に呼び出され、宗教勧誘を受けた。不本意ながらも断り切れず、結果的に入会させられてしまった。会員の登録を取り消すにはどうしたらよいか」
「息子や娘が顕正会に誘われて入ってしまったらしい。親としてどのように対処したらよいか」
当方には上掲のような質問がしばしば寄せられ、都度、出来る範囲でアドバイスさせて頂いております。
一時期はあまりに相談が多数に上り、僕一人では対応が追い付かないという事態に陥ったため、
ペンネームの禁止という制限を設け、メールフォームも目立たない場所に移した結果、
今ではその数は激減しました。
とはいえ、依然としてTwitterやコメント欄を媒介として、アドバイスを求められることがないわけではありません。
SPONSORED LINK
Index
脱会届の代行サービスについて
顕正会の脱会手続きについてインターネットで調べていると
「内容証明を使って脱会届を本部に送付する」
ことを奨励する意見が散見されます。
そういった情報に接し、僕の方にも「内容証明」を利用した方が良いのでしょうか?
といった相談を持ち掛けられるケースが多々ありますが、
僕個人の意見としては、基本的に「内容証明を送付するまでもない」とお答えしています。
その類型。
そういった方法を奨めるウェブサイトの最たるものとして、弁護士相談系などが挙げられます。
一般に「内容証明など今まで一度も利用したことがない」という方がほとんどだと思われるので、いざ作成といっても手順や必要なもの用意する手間がありますし、そういった情報を収集するのに多くの時間と苦労を要することでしょう。
内容証明の作成をネット経由で弁護士に依頼すれば、簡便に済ませることができますが、
問題は「数万円から」の費用がかかる点にあります。
反対の立場で考えてみましょう。
内容証明の作成だけで、数万円ですよ。なかなかボロイ商売だと思いませんか。
僕が、やたら内容証明の必要性を猛プッシュする言説をみるにつけ、
代行はコスト高い
特に、脱会アドバイスを求めてくる方は「学生さん」を中心とした若年者が圧倒的に多いです。
そういった方々の多くは、「親にバレない方法で」という前提条件で相談を希望されます。
数万円ですよ。
おいそれと出せるような金額ではないですよね。
また、「書面を送付したことにより、かえって会側を触発してしまい、実家に凸訪問されたり、パンフみたいなものを送られてこられると余計に困る」と懸念される方も少なくないです。
「なるべく穏便に、後腐れなく、顕正会との関係を絶ちたい」
それが、ほとんどの顕正会勧誘被害者の本音ではないでしょうか。
よって具体的な解決策は、この「本音」と「コストの面」を勘案した方法にフォーカスすることになります。
顕正会の情報筋に聞くのが一番
そういった方法を提示できるのは、必然的に、会の行動を良く理解した「元会員」であり、
顕正会の特異な体質を「一般の脱会方法」という枠に当てはめて語るのは少々強引な気がしてならないわけです。
例えばこちら。
本文には
「~と定義できるという説を唱える者がいるが、
これは誤りである。(中略) (脱会届+内容照明+配達証明を)絶対に行っておく必要がある。
と、序文からしていかにも断定的な論調ですが、これは僕のことを暗に名指ししているのかな?
それだけの自信をお持ちということであれば、当然、参与観察などはとうにお済みなのでしょう。
しかし、顕正会では脱会の手続きが規定されていないし、驚くことに会側はそういった概念すら持ち合わせていないため、脱会証明書を発行してくるなどということはありません。
顕正会は会員が何かトラブルを起こすと、会の管理から切り離して、罪の所在を信者個人の責任に転嫁させようとする節があります。
過去、一連の事件に対する会の対応にはそのような傾向が見られます。
(参照リンク→ 顕正会の事件簿まとめ「総数42連発」。「ワースト3」は!?)
果たして、内容証明郵便付き脱会届を出せば「安心」なのか?
会が「脱会届け」というものに関してどのような対応を行っているのか明確とならない以上、「内容証明付き脱会届=解決」と早合点するのは誤りです。
僕の周囲のお話をすると、これは既に3年近く前の事例で、且つ内容証明を利用したものではありませんが、
日蓮正宗が作成した脱会届を顕正会本部に送付した男性
更に約半年後、なんと機関誌、
これは脱会届を受け取った本部側が、本人の脱会意思を所轄の幹部会員に通達していない、という事実を示唆するものであり、
この事例から、宗教団体の脱会方法は一律同様というわけではなく、対象とする組織の体質に合わせた脱会方法を模索することが重要だということがお分かり頂けると思います。
有効性を問うべき。
確かに内容証明には「利用した本人の精神的負担を軽減させる効果」があるのは事実だと思います。
しかし肝心なのは、その「有効性」についてであり、これが伴わなければ心的効果も空虚なものになってしまいます。
会が「まともな対応」を行っている、という確証が得られない限り、「脱会届+内容証明+配達証明」の要否については、あくまで脱会希望者本人の裁量にお任せし、「こうすれば安心」といったような根拠のない口から出まかせ論は排除すべきだと思います。
SPONSORED LINK
内容証明とは。
そもそも、内容証明とは何か?ということなのですが、
僕はその筋の専門家ではありませんので、内容証明を出すならこの1冊 (はじめの一歩)という書籍に沿ってお話をしたいと思います。
内容証明とは端的に言えばこういうことです。
1、どんな内容の手紙を
2、いつ相手に出したか
ということを郵便局で証明してくれるものです。
(中略)
大切な手紙や、後日のためにその手紙を出したことの証拠を残しておかなければならない場合には、内容証明郵便がよいのです。
くどいようですが、内容証明郵便の本来の効果は、どんな内容の手紙を、いつ出したのかを証明できるということ、それだけです。(P16~17)
普通の手紙では、送ったにも関わらず相手が「受け取ってないよ」と言い張られてしまえばそれまでですからね。
そんな場合、「送ったのに届いてない?郵便局はちゃんと仕事したのか?」
という事態も発生するでしょうから、郵便局側が「ちゃんと仕事したよ」ということを証明するために設けた、そんな意味合いも含んでいるのかなと個人的には思いますね。
ただ問題はその後で、「ちゃんと配達しましたよ。相手は受け取りましたよ。」
と証明したところで、相手が「受け取りました、が、何か?」
と、どこ吹く風では差出人の意図に適いません。
しかし顕正会は「受け取りました、が、何か?」
と、とぼけているからタチが悪いんです。
内容証明とは、受取人が書面を受け取った後の行動まで保証してくれるものではありません。
内容証明の心的効果。
内容証明郵便には相手方を心理的に動揺させ、威圧する効果が生じます。
内容証明を出したところ、あれほど逃げ回っていた相手があっさり支払ってきた、あるいはこちらの言い分を認めてきたというケースはよくあります。決して私だけの体験ではありません。
これはまさに内容証明郵便の心理的効果です。
世上、内容証明郵便はよく利用されていますが、その大半は内容証明郵便の本来的効果を目的にしたものではなく、二次的な作用ともいえる心理的効果によって自分の要求を実現させるために利用しているのです。(P19)
なぜそういった心理的効果を生むのか、その理由は、
1、普通とは異なる格式張った形式で書かれていること
2、書留郵便で配達されるので、いかにも重要そう
3、郵便事業株式会社の捺印が相手に緊張感を与える
4、いちいちこのようなやっかいな手法を用いるということは、次は何か法的手段を講じてくるな、これはやっかいだ、と思わせる。
以上です。
ただこれら、特に1~3に関しては、相手の性格に依存した性質のものです。
「あぁ、また送られてきたのか、めんどくせぇな、ある程度保管しておいて適当な時期が来たらシュレッダー行きだな」
こんな風に都度本部職員が思っていたならば、せっかくの苦労が水の泡です。
4、についてですが、こんなの顕正会は馴れっこですからね。
送付する相手は本部ではなく紹介者本人
この話の筋だと内容証明付き脱会届は、どうやら本部に対してではなく、紹介者本人の自宅宛てに送付した方が高い効果を得られそうです。
法的手段に乗り切られた場合、痛手を負うのは本人自身ですからね。
内容証明を出すべきではない?
それでも、内容証明付き脱会届を出そうと考えている方は、
内容証明付き脱会届は「出さなくてもよい」
ではなく、むしろ場合によっては(コストの話を度外視しても)
「出すべきではない」
というケースがあることも一応念頭に置いておいた方がよいでしょう。
内容証明を出すならこの1冊 (はじめの一歩)の89項「内容証明を出してはいけないとき」の見出し以降に該当するケースが記述されています。
そもそも、
内容証明郵便を利用するのは、将来トラブルが発生するのを防ぐためや、現に発生しているトラブルを解決するためです。 (P89)
項目の中に、「こちらに弱みがあるとき」というものがあります。
うかつに内容証明を出すと、相手は身構え、弁護士を頼んだり、こちらの弱点に気付かれたりで、ヤブヘビのことがあります。
内容証明郵便などを出さないで、相手を警戒させず、平和裡に交渉を進め、ある程度譲歩してでも話をまとめます。そしてまとまったら、ただちに文書にして取り交わすことです。(P91)
「無理矢理入会させられた」
といっても、実際に入信報告書に個人情報を記入し、
入信勤行という儀式に参加してしまったのは、紛れもなく自分自身です。
全てが顕正会のせいではありません。
確かに「説明が無かった」かもしれませんが、それならば入信の際にもっと深堀りして、入会の意義や、それに伴い発生する不都合などについてきちんと問うなど、慎重に行動するべきでした。
例えば、
・飲料の中に薬物を混入されて、意識がもうろうとする中、勝手に入会させられた、
・酩酊する中、拘束され、激しい言葉で説き伏せられて、報告書に署名させられた。
などといったケースならこの限りではありませんが、
実際に顕正会員がそこまでの蛮行に及ぶことは有り得ません。
彼らの信条に適わないからです。
なので、「顕正会や紹介者に全ての罪がある」みたいな構えですと、余計なトラブルが発生する原因ともなりかねません。
最後に
今回紹介した内容証明を出すならこの1冊 (はじめの一歩)のP294には、
「加入団体を脱退したい場合」といった項目があります。
そこに例にすべき書式がいくつか示されていますので、本当に内容証明郵便を利用したい方に限り、参考にしてみて下さい。
弁護士に高い費用を払うくらいなら、専門書に基づいて自分でやっちゃいましょう。
以上、内容証明郵便付き脱会届について詳細に記しました。
切に脱会を希望する方の一助と成り得れば幸いです。
顕彰会は真面目な可哀想な動物です