内村鑑三の日蓮観が秀逸。【代表的日本人】に選り抜き、その心は。

クリスマスが近づいてきましたね。

クリスマスと言えばキリスト教の年中行事の最たるものとして有名です。

ところでキリスト教と言えば皆さんどのような人物を思い浮かべるでしょうか?

内村鑑三は、多くの知識人達が新たな日本の建国に貢献し、その名を世に轟かせた、百花繚乱とも言われる明治期に代表されるキリスト教徒の一人です。

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内村鑑三とは?代表的日本人とは?

勿論、彼のキリスト教に対する姿勢は、いわゆる正統派視点から見れば懐疑的意見が存在することも事実ですが、

とはいえ、「内村鑑三事件」と通称される件において、当時の内村氏の行動の奥にある心中に思いを馳せれば、その彼の一途で誠実な信仰心に、脱帽しない者が果たしているでしょうか?

このサイトは大なり小なり、「日蓮」というキーワードにゆかりのある人生を歩まれている来訪者の方が多いと思われますが、

その内村の著作の王道ともいえる一書が「代表的日本人」というものでして、

この「代表的日本人」5名の中に「日蓮」がノミネートされているわけです。

といっても、有名な作品であるため、「そんなこと、とうに知ってるよ」という方も多いと思いますが、

平成24年11月25日に初版された「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」の「代表的日本人」が、表紙に

「全文をとことん読み易くしました!153分で読めます」

と掲げているだけあって、本当に読み易すかったので、備忘録、レビューがてらに紹介してみたいと思います。

ところで僕がこの本を153分以内に読了できたかどうかは内緒。

大体どういった本なのか?

まずざっくり概要についてお話すると、内村の日蓮観は、その「人間としての魅力」についてフォーカスされています。

日蓮本仏論については宗教学的にその妥当性の底が割れてしまっているので、そこらへんについては次のように言及されています。

ここで、佛教経典の正確な年代順や各教典の相対的価値を批判的に考察するつもりはありません。

いまではほぼ定説になっていると思いますが、蓮長がこれほど重視した法華経は、仏滅後五百年ほどあとに書かれたものですし、ここにあげた経典の年代順を記した「無量義経」は、こうした新しい経典に信憑性や最高権威を与える目的で書かれたものだったのです。

いずれにせよ、蓮長がここに書かれた年代順に経典を受け入れた上で、「妙法蓮華経」に仏教信仰のよりどころと、矛盾した考え方が仏教にこれだけたくさんあるわけを単純明快に説明したことばを見つけた、とわかっただけでわたしたちには十分でしょう。(197項)

余談ですが、キリスト教自体も啓蒙主義以降の西洋においては、神秘性が取り除かれていき、イエスを人格的な意味合いでの道徳的模範という側面が強調されていった動きがあったわけで、

内村の日蓮観を助けた基底には、そのような着想というのも少なからずあったことが窺えますね。

とにかく、そういった視座から日蓮を再評価していく試みというのは、日蓮信仰者にとって狭量な信仰営為に堕さない為に大変意義深いことではないでしょうか。

その実利的なものとして、本書は大変有益な一冊と確信します。

本書に余すことなく散りばめられた感動の日蓮賛歌。

あまり詳述するとネタバレになってしまいますが、あえて僕の心が打ち震えた箇所をいくつか抜粋して紹介したいと思います。

蓮長は独力で、あらゆる種類の権力を相手に、当時勢力を誇っていた各宗派と真っ向からぶつかったのです。

日本の仏僧で、ひとつの経典と仏法のために命を賭して立ち上がったのは、わたしたちの知る限り蓮長ただひとりであり、その後に続く例はひとつとしてありません。蓮長の行き方が興味を引くのは、主張し、広めたその教義の見解によるのではなく、非難をものともせず自分の信じた教えを支持し続けた、その勇敢な生き方によるものです。日本においての真の意味での宗教的迫害は、この日蓮から始まったのです。(203、204項)

次、

それでもわたし個人は、必要とあればこの日蓮のために自分の名誉をかけます。日蓮の教えのほとんどが今日の批判の試練に耐えるものではないことは、一応認めます。その反論は荒っぽく、語気全体が狂気じみてます。バランスを欠く性格だったことは確かで、ひとつの方向だけに向かいすぎていました。それでも、その誤った知識、遺伝的気質、あの時代の周囲の状況が及ぼした多くの影響を、日蓮から取り去ってみると、心の芯まで誠実な人間、だれよりも正直な人間、もっとも勇敢な日本人が見えてくるのです。(222項)

次、

ムハンマドの偽善者の汚名を晴らしたように、日蓮を正しく評価する方向に歴史はもっと向かうべきでした。

そこで、十三世紀という時代の装い、高等批評を知らなかった点、その内面に宿っていたかもしれないやや狂気じみたところ(偉大な人物なら誰にでもある、とわたしは思います)を日蓮からはぎ取ってみると、そこにはひとりの非凡な人物、世界の偉人に数えられる人物が現れてきます。日本で日蓮ほど独立独歩の人はほかに思いつきません。まさにこの日蓮が、その独創性と独立精神によって、仏教を日本の宗教にしたのです。日蓮宗だけが純粋に日本の生まれであり、ほかの宗派はすべてインド、中国、朝鮮の人たちが始めたものです。(227項)

そしてこの代表的日本人の末文は以下のように結ばれています。

「むき出しの闘志を除いた日蓮」こそ、わたしたちが理想とする宗教者なのです。(228項)

以上、全46項に亘って、冒頭、日蓮の生涯を概観説明するところから始まり、次第に内村主観で「人間日蓮」を謳歌する美辞麗句が埋め尽くされています。

現代社会の文脈において、日蓮本仏論という信条を実生活に則して統合させていくことは、様々な煩悶を生むでしょうし、「どう折り合いをつけていけば良いか」と悩まれている方は少なくないのではないでしょうか。

そんなときは是非本書を手に取ってみて下さい。

釈然とするような革新的な知見が得られるかもしれません。

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